日々の活動

12月議会一般質問少子化問題から考えるジェンダーギャップについて#佐野市議会

若者回復率

1.佐野市人口ビジョンと佐野市まちひとしごと創生総合戦略から少子化対策を考える

こんにちわ。佐野市議会議員の早川たかみつです。12月4日より佐野市では令和2年第8回定例会が開かれており、私は昨日の14:50から一般質問を行いました。新型コロナウイルス感染症の影響により、通常1時間の質問時間が30分に短縮され、限られた時間のなかでの質問となりました。今回は特に少子化問題にみるジェンダーギャップについて書きたいと思います。

一般質問の通告書はこちら

さて、今回質問をするにあたり、佐野市の人口ビジョンと佐野市まち・ひと・しごと創生総合戦略を調べました。

佐野市人口ビジョンとは…
佐野市の人口の現状分析や課題把握を行い、長期的な視点で人口を展望するもので、令和42年の人口目標を定めたもの。今年3月に改訂。

佐野市まち・ひと・しごと創生総合戦略とは…
佐野市人口ビジョンで定めた人口を維持するために必要となる各種施策を定めたもの。現在は第2期になっている。

2.少子化の主な原因は若い世代の転出超過

さて下記のグラフをご覧ください。これは佐野市の年齢階級別の純移動数を示したものです。

年齢階級別の純移動数

主に男性も女性も20代で転入より転出が多く、30代で転入が転出を上回る状況がはっきり分かります。また、10代+20代の転出数>30代の転入数であるために、人口は減っていきます。さらに女性の転出は男性よりも圧倒的に多くなっています。このグラフを使って転出理由を聞きました。

執行部の答弁
・進学の際に、より高度で専門的な教育環境を求める。
・就職の際に、職種の選択肢が幅広い、賃金、福利厚生面などを求める
・国や県のアンケート調査によると女性は学歴が高いほど正規雇用で就業する傾向が強い。
・東京圏での正規雇用の割合が高いという実績が示されている。
・3割弱の女性が「女性が活躍できる仕事は東京圏に多い。

といった回答でした。これは当然の話なんですが、進学でも就職でも佐野市よりは首都圏の方が圧倒的にその条件を満たす大学や、企業は多いため、転出するのはやむを得ないかもしれません。一方で、女性の転出が圧倒的に多い理由については疑問が残ります。国や県のアンケート調査はどんなものだったのか?「女性が活躍できる仕事は東京圏に多い」以外にも理由があるのではないか?という

執行部の答弁
・アンケートは「若年層における東京圏・地方圏移動に関する意識調査」や「東京 一極集中の要因分析に関する関連データ集」、さらには、県が取りまとめた「県民意向調査」などを参考にした。
・女性が活躍できる仕事は東京圏に多いと回答した割合が男性と比較して特に女性が多かったため、それ以外にも別のアンケートも含めると都会への憧れなどがあった。
・特に女性では、「地元や親元を離れたかった」が上位になっており、地元に対する息苦しさを感じることが伺える分析がされている。

赤文字で示したところが一つのポイントだと思います。この質問で分かったことは、女性は地元で息苦しさを感じている傾向があるということです。

3.RESASを使って地域の人口社会増減グラフから少子化を読み取る

続いてRESAS(地域経済分析システム)を使って純移動数のグラフで質問しています。年代や年齢層から地元の人口の増減傾向を簡単にみられるようになっているので興味のある方は自身の地域を調べてみるといいかもしれません。佐野市のデータを動的にみられるようにデータをリンクしておきます。さて下の画像を見てください。

紫色の線が2010年→2015年区分の最新のデータです。大きく減らす、15~19歳→20歳~24歳区分の減少幅が大きく減っており、また回復するはずの20歳~24歳→25歳~29歳区分での増加幅も減ってきています。その数値についての見解を伺いました。

執行部の答弁
どちらとも世代の少子化が原因15~19歳の区分から20~24歳の区分」の純移動数は、「2005年から2010年」が1,238人の転出超過であったのに対し、2010年から2015年」は857人の転出超過となっており、381人、転出超過幅が縮小。また
「20~24歳の区分から25~29歳の区分」の純移動数につきましては、「2005年から2010年」が「2010年から2015年」よりも増加していたものの、全体としてはプラス幅が減少傾向にございます。

少子化が原因という答弁です。さてここで私自身その少子化の原因を解決するには女性に地元に帰ってきてもらわないと改善することは出来ないとの考えに至っています。その点は人口ビジョンや創生総合戦略にも書かれている事ではあります。ここで若者回復率という指標を用いて説明したいと思います。

4.若年層(特に女性)に帰ってきてもらうためにするべきこと

若者回復率とは…
10歳代の転出超過数に対して20歳代の転入超過者数が占める割合」と定義されます。 簡単に言うと、進学で地元を離れた子供たちが就職や結婚を機会に、故郷の町に帰ってきてくれたかどうか、を表す指標とされている。

さて若者回復率とは上記説明の通りです。これを過去の佐野市や、県内の近接市、栃木県全体と比較した表をご覧ください。

5.「ありたい姿」を実現できる地域社会の実現を

表を見ると意外と佐野市は頑張っている部類に入ります。男性は転出以上に転入者が増えています。近接する足利市や栃木市を見てみますと割合はおろか、転出者数もとんでもない数値になっています。栃木県の回復率をみれてばほぼ同じ数値にはなっているのもわかります。しかしここで問題にしなければならないのは若者回復率の男女格差です。人口ビジョンの中では15~39歳女性人口の推移にも注目しており、この年代の人口が減ってしまうと出生数の減少につながるといった記述もあります。ここを問題視したうえで解消していかなければなりません。

6.女性の転入者を増やすために改善すべきこと

 さてここで解消するためにどんなことをしていったらよいかという話になりますが、まず創生総合戦略の取り組みについてみてみましょう。私が特に問題になるなと思ったのが《基本目標3:結婚・妊娠・出産・子育ての希望をかなえ、女性が輝く地域社会をつくる≫という文言です。また人口の動向と第1期総合戦略の振り返りの中でも”女性がゆとりや生きがいを感じながら、仕事と子育て
を両立することができる環境づくりが求められます”この部分です。

 一般質問の中でも申し上げましたが、まず、女性が輝くというのが具体的に何を意味しているのか明確ではないかなと思います。さらにすべての女性が輝かないと目標が達成できないようにも聞こえますし、また女性だけが輝けば解決できるものでもないはずです。女性がゆとりや生きがいを感じながら、仕事と子育てを両立することができるということが、女性が輝くという意味であるならば、これって女性に丸投げ感が半端ないですしそんな地域に女性は戻って来たいとも思えないでしょうし、女性に選ばれるまちにならないでしょう。

私は、女性だけが仕事と子育てを両立するのではなく、男女関係なく仕事と子育ては両立できる環境作りが必要だと考えています。ここでジェンダーギャップに取り組んでいる兵庫県豊岡市の取り組みを豊岡の挑戦~ジェンダー平等をめざして~を紹介します。この中で触れているワークイノベーション戦略の中でも家事や育児などの「家庭参画」をすれば、ジェンダーギャップは埋まっていくと書かれています。この部分を引用しながら当局に答弁を求めました。

7.前向きな答弁で今後に期待

さてそのような答弁をに対して執行部の答弁の概要は下記になります。

執行部の答弁
・出生数にも影響を与える若年女性の人口が、本市の将来を大きく左右すると認識している。
・少子化対策・女性活躍担当を設けて今後の事業化にむけて精査をする。

・自ら「ありたい姿」になれるよう、自然体で持てる能力を発揮し、それぞれが望む形で活躍できる社会の実現を目指すことが大切。
・この実現のためにはお互いに支えあうべきである男性の意識改革が大切。
・地域や企業をはじめとする社会全体として、男女ともに時間や場所を有効活用できる柔軟な働き方の普及、個性を尊重し多様性を認める市民意識の醸成を図りたい。

かなり前向きな答弁になっています。ジェンダーギャップを認識し、担当を設けて事業化に向けて精査していくとの事。最初の方にも答弁にもあった「女性が感じている息苦しさなど」を解消し、「女性に選ばれる」佐野市となるよう、今後もこの問題に関して取り組んでいきます。

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